2023/09/25 14:51

<人気:過去記事転記>ブログ引っ越しに伴い、人気の記事をこちらに転記致します。年月日不順になります。


構図を半分に分けた作。
なかなか手が込んだ作りです。
パッと見た感じでは朱色と藍色を中心に分けただけのように感じますが、これが手に取ると思わず唸る拘りを感じます。
*器は完売してます。

朱色部分とされる大きな覗窓の中に描かれた花鳥画は目をみはる鮮やかさ。
器半分を輪花に仕上げた理由は以下に続きます‥‥
*輪花=口縁に花弁のような変化を付けた形

藍色が特徴の扇型に分けられた部分には見込中央に朝日から広がる夥しい文様。しかし、それだけではなく、こちら側には見事な凹凸が付けられた形状をしており、菊花(型)と称する形を半月により表現。
*菊花=菊の花を模す、口縁が菊の花弁を表す形状の事
*半月=円を満月に見立て、一端を半分にしたもの

手にした時に細部まで拘り抜いた陶工の技を感じられ薄造りながらも大切にされて来られた訳が‥‥お使いいただけましたら、きっと御理解頂けます。

色鮮やかな大鉢は伊万里を代表する朱色と藍色が印象的‥‥と、ここで終わらない多様な輪花。

あまり資料をネット上に提供するのもどうか‥‥と考えて参りましたが、最近は調べ物をされる方の殆どがネット情報との事で、通常は店頭でご質問された場合にだけ書籍をお見せして御説明させて頂いております。
今回、初めて『型打成形』について触れさせて頂きます。

輪花や菊花型は「どのように作るの?」と良く聞かれます。
「型抜き?」と言われますが、おそらく御想像されておられる型抜きは西洋で発展した彫刻に用いられる石膏の型抜きを御想像の方が多いかと思いますが、それとは異なり陶芸の技法で型打成形と称する作り方が日本では江戸時代に発達しました。

上の画像は柿右衛門窯に残る土型。

簡単に御説明致しますと西洋の石膏は粘土で形を整えた上に石膏を指で弾くようにかけていき、粘土を取り出し凹になった部分へ石膏を流し込み固まりましたら形成する型を崩して本体を取り出す訳ですが(とても簡潔に書いております)日本の型打形成の場合は土型を作り、それとは別に「ろくろ」で大まかな器の形を作ったものを半乾きにして、土型へ被せて手で抑えながら叩く、又はタタラを被せて作り最後に土型から外して全体の形を整えます。


この型打成形は現在も用いられる技法であり輪花等の可愛らしい器は、ほぼ、この過程を経て作られております。
その後は絵付けを施し窯で焼き締める陶芸の基本工程となります。


さて、この手の大きな鉢を御覧になられる場合、殆どが「煮物をごっそりと盛りたいわね♪」と仰る方が多く、正にそれが適した日常の器でもあります。

と云うことで肉じゃがを添えました^^;


見込から広がる文様が引き立て役となります。


見込には麒麟が描かれております。
この時代、西洋から輸入されたコバルトブルーが新鮮な「青」をして人々を驚かせたことでしょう。

それがわかるのは絵付師による藍色の濃淡で表現する水墨画の技法が巧みに見られる処が魅力です。
浮世絵にも頻繁に貴重なコバルトブルーを用いる絵師が世にでる訳でありますが、我々が現在、当然として目にする鮮やかな色彩にも歴史が左右している事を「やきもの」から数多く見ることによりうかがい知る事が可能です。

こちらも形状が洒落ております。
商品ページで御覧下さい。

伊万里染付麒麟文様深鉢←こちら


こちらにも肉じゃがを添えました。


染付は食材の色を引き立てる効果がございます。


箸置で季節感を演出。

深さのある鉢は、お一つお持ちですと四季折々使えます。

お気に入りがございましたら、お声掛け下さいませ。