2023/09/26 18:21

連日、基礎知識編のコラムですがお付き合いください。

陶器と磁器の違いを見分けるには当店では高台を見るようにお伝えしております。

高台とは器の裏側に支えとなる足の部分と申し上げれば伝わるかと思います。
その写真を用いて御説明致します。

まずは陶器から


このように釉薬がかかっていないので土の表面がそのまま見えるものが陶器と判断して下さい。
陶器の土は粘土を用いている為、土、本来の色が出ます。
釉薬の流れる具合も自然のまま仕上げますので全体的に温かみがあり、柔らかい雰囲気を醸し出しております。

*唐津焼
*萩焼
*瀬戸焼
*美濃焼
*薩摩焼
*益子焼
*笠間焼
*会津本郷焼

などが陶器となります。


続いて磁器

高台は白く、土は陶石(石の一種)を使っているので硬い雰囲気がします。
釉薬のかかっていない部分も白いので解りやすいかと思います。
なぜ釉薬がかかっていないかと申しますと、窯で焼くときに底の部分となる所に釉薬がかかっていると下に敷いてある板に付いてしまうので必ず釉薬を拭いてから窯に入れ焼きます。

 

*伊万里(有田)焼

*九谷焼

*京焼

*砥部焼

 

などが磁器になります。



この他に、よく指で器を弾いて音で判断する方がおりますが、当方、古美術商の案内の為、この方法はおすすめ出来ません。
古いものは、どこにヒビや割れ、土の乾き具合が生じているか肉眼では見えにくい部分もありますので、おもむろに指で弾く真似をしますと破損する場合がございます。
現代物の陶磁器でお試しになる場合はまあまあ良いのですが、古いものには適さないので御注意ください。
当店で、この仕草をしますと、即座にお引き取り申し上げます。

尚、一応、音で何を確認しているのかを記載致します。

陶器の場合は鈍い音がします。
磁器の場合は金属質の音がします。

そして更に、これは本当に当店としては大反対の鑑定の仕方ですが、指で弾く音により割れや欠けのあるものは音が鈍ると申す方がおり、これを実行される方も多く、大変、迷惑です。
御自身の収集品で行う分には破損されようと御自身の責任ですから構いません。

しかし売り物である店頭に陳列しているものは店の所有物です。
それらを断りもなく指で弾くような真似はお断り致します。
ひと昔の古美術商には、そのような真似をされる方もおられましたが、これは、本当に迷惑行為です。

もちろん新しいものでお試しになられる場合は店側に断りを入れてから行うと良いでしょう。
古いものは衝撃に弱いので古美術、骨董商の店先で知っているフリをして行うのはやめておかれた方が賢明です。

それと余談に余談となりますが、磁器を『いしもの』と称する方もおります。
古美術、骨董に携わり少しずつ専門用語を覚え始めると、やたらと覚えたての用語を連呼したがる方がおりますが、これは少々、恥ずかしいので控えた方が良いと思います。
店側が、この方は解っていると判断した時には更に上回る専門用語を出す場合と、お客様をおだて上げる場合と色々なパターンがありますが、殆どが変なものを摑まされておられるのが、この手の方々です。
だいたい、人間性もお話の中で店側は感じ取りますので、覚えたての言葉をやたらと連呼される場合はお気をつけ下さい。

当店の場合は、店主が「へ〜、そうなんですか」と知らないふりを多々しております(ここだけの話)
すると、良く話出すのが古美術初心者の特徴です。
この段階では、まだ御自身の勉学に惚れ込んでいる段階ですので買い物はされない方が良いでしょう。

(当店の場合はやんわりお断り申し上げて再びご来店された時から本当の商談を行なっております。当店に出入りをしない間に他で贋物をつかまされる方の多いこと。。。勉強ですね。。。本当は良くないと思いますが。。。当店は知らないふり第二弾決行します。ですので他店で購入されたものを持ち込まれて鑑定依頼をされるのは本当に辞めてください)

専門書を必ず1冊は入手してから古美術商を巡った方が良いですと以前から御案内しておりますが、覚えたての言葉は使いたくなりますよね^^;
しかし、店側は聞き慣れている上に、どのような方かを判断する材料となりますので御注意ください。

このような話をして良いのか?と思われるかと存じます。
良いでしょう。
むしろ、しておかないとドンドン鼻が高くなり話だけが長引く方が多いので釘を刺しておきます。

古美術商の中では、これぐらいの自信満々の方のほうが良いとされる店もございますが、あまりにも常識のない態度を取られますと二度と敷居をまたぐことは出来ませんので、全てをひけらかすのは自制されることをお勧め致します。

実は古美術収集暦数十年の方より「陶器と磁器ってどこが違うんだ?」と聞かれた為、記載致しました。
初心に戻り、基本から押さえておくと、もっと御自身の眼に自信がつきます。

店側も同じですが、常にどのような出会いがあるかわからないのが古美術の世界。
仕入れたくても物がなければ終わり。

お客様がよく「美術品って、出会いですよね〜」と仰いますが、店側も古美術品と出会い、店に陳列しております。
この連鎖がより良いものとなることを願います。

陶器と磁器。
どちらにも優れた特徴があることが使うと解ります。
これは使わないと解りません。

最後に「育てる器」という言葉を古美術、骨董品を収集していく上で耳にするかと思います。

この場合は陶器を指します。

土が育つと表現しますが、使い込むと釉薬と土の具合に変化が見られます。

最も早く育てるには、どうすれば良いですか?と聞かれますが、日本酒を手のひらで塗るのを当店ではお勧めしてます。

 

これも嫌な話ですが、昔、わざと古く見せようと土に埋めた古美術商がいたとご年配の方から聞きます。

これは、確かに土に土がつくのですが、育つと評するより汚れですよね。

 

陶器を上手に使い続けつには以前もコラムでご案内しました米のとぎ汁に一晩浸けておかれると土が締まり良い感じになります。

 

是非、お試しください。

 

古美術品はある程度まで育った姿で現存しております。

ここから更に、どのように育てていくかが所有者の楽しみであり責任でもあります。

 

そういうところで楽しめるようになりますと、御来店された時に話も弾みます。

 

 

以上、ご拝読ありがとうございました。

釉薬を使わない焼締のやきものに関しましては、一つ前の六古窯のコラムに記載してあります。