2023/09/26 18:38

当店で刀剣をお買い求めになられた方、又、研ぎ御依頼時に手入方法を店頭にてご説明申し上げております。

刀剣手入用具の販売は、これまで店頭のみで行っておりましたが、ホームページ内でも販売希望のお声を多数頂きましたので、本日より開始致します。

基本的に、美術刀剣・居合刀どちらにも対応可能な桐箱入の手入用具一式をご用意しております。

以前、ご購入された方、これから刀剣を所有される方にご参考の記事となりましたら幸いです。

まずは刀剣油
刀身が錆びないように必要です。
刀身が空気に触れる間に油膜を作ることにより酸化を防ぎます。

油のみの販売もしております。

大体4ヶ月、季節によっては半年程で油は乾燥してしまい錆の原因になります。
約3ヶ月を目安に油を塗って下さい。

日本人の誰もが知る「あ〜ポンポンね」

正式名は打粉(うちこ)です。
時代劇でも見かける刀剣の手入道具で最も知られている打粉は砥石の粉末状にされたものが詰めてあります。
当店では研師が作業中に出た粉を時々持ってきてくれます。

打粉は古い油を取る目的と、刀身の肌を美しく整える為に必要な用具です。

軽く打っても刀身の表面に粉がつきますが、初めての方は恐々打たれるので、もう少し力を入れても刀身は鉄ですので大丈夫です。

満遍なく打って下さい。

そして、こちらは拭い紙(ぬぐいかみ)
古い油を取ったり、打粉の粉を拭う為の紙です。

油を取る用と、打粉用に分けておくと良いです。

刀剣の扱いの基本ですが、一応記載しておきます。

刀身には触れないで下さい。
手脂がつきますと、そこから酸化が始まり錆に繋がります。

又、手入れをする時には口に軽く和紙を挟む姿をご記憶の方も多いかと思いますが、これは刀身に息がかからないように予め、和紙を口に挟みます。

手入れ中は無言で黙々と行って下さい。

そして、こちらも無くてはならない目釘抜き(めくぎぬき)
柄から目釘を抜く時に使います。

目釘とは、こちらです。

刀身は釘のみで固定されております。

目釘の小さな穴の方から目釘抜きを差し込み取ります。

手入れの時には、なるべくナカゴを外して下さい。

ネルケースも付いております。

それでは、順序立ててご説明します。

1)鞘から刃を上にして刀を抜きます。

2)拭い紙で棟方から古い油を拭きます。

3)打粉で刀身をポンポン打ったら、2)とは別の拭い紙で粉を拭います。

*3)の工程を2〜3回繰り返しますと曇りが取れてきます。

4)目釘抜きを使って、ナカゴを外します。

5)ハバキを外します。ハバキで隠れていた刀身部分にも油を塗ります。


写真撮影の為、拵付のままでご説明します。

ハバキを写真のようにずらして外します。この部分まで油を塗ります。

6)ハバキも汚れを落としたら油を塗っておくと良いです。

7)ナカゴは乾いた綿の布で拭います。

8)鞘に納めます。



手入れ方法は当店でご購入された場合と研ぎ御依頼時にご質問受け付けております。

全ての御対応・御説明は店主より致します。

その他の場合は、専門書などを書店で購入して学ばれて下さい。

刀剣 手入れ用具←こちらで販売しております

鑑賞中に錆びの発生に気が付きましたら、お声がけ下さい。

<余談>

刀剣油は主に丁字の葉から抽出されておりました。

上の油彩画は店主作(元々絵画専攻科です)

日本の椿の葉に似ているとご説明しておりますが実物が手に入らなかった為、絵にしてご案内申し上げております。


店舗カウンターの上に飾ってありますので、ご参考までにご覧下さい。

(丸2つは照明の反射)チャッカリ販売しておりますが有難い事に既にお声はかかっております。

*油彩完売です。


そして、こちらが丁字の実=クローブです。

肉料理に使う、あのクローブが丁字のことです。

我ながら‥‥なんでもある店舗だな‥‥と思いつつ写真撮影しましたが、クローブの実でしたら店内にご用意ございます。

(なぜ‥‥‥^^;)こちらは刀剣用具ではございません。

 

丁字の葉はネット検索、もしくは店主作の絵でご理解下さい。

 

椿油も多方面から取り寄せて試しました。

静岡県のものが好ましく感じました。

(ただし高けぇ〜ズラ)

椿油研究に没頭している期間は取引先の料理屋さんで椿油使用度が急激に上がっていたのも懐かしい限りです。

(椿油で揚げた天ぷらが出てくるのは〜『the 銀座』の○○ぐらいですかね?なんせ高けぇ〜ズラ/でも静岡産椿油品質保証するズラ)

 

刀剣油、結局、ぐるっと5周程して、当店開業当初から変わらぬ、本日ご案内の高級刀剣油に舞い戻りました。

お取引先の皆様、今後とも裏で地道な研究にお付き合い頂けましたら幸いです。