2023/09/26 20:33

臨時休業前に常連客のYさんが見せてくれた手作りの振出の蓋。
「トウモロコシの皮で作るのよ〜。茶道の先生に聞いたけど、これで十分だって」
と、ほんの数分の会話の中でテーブルに置かれていた蓋。

茶道具を扱っていると蓋なし!を入荷せざるおえない時があるので店頭にこそ陳列しておりませんが蓋なしが数多く在庫として裏にしまって有りました。

まず、振出とは茶道具の中で最も小さな菓子器で、主に金平糖などの小さな菓子を入れる器です。
又、香煎と言って紫蘇や山椒の実、陳皮の粉にしたものを入れてます。
陳皮とはみかんの皮を干したもので漢方薬として今でも用いられており、店主はこれを冬場に個人的に作り置きしております。

話を元に戻しまして、振出(ふりだし)と呼ばれるようになった由来は振って出すから、そのまま振出となったようで実に覚えやすい道具です。

口の直径はだいたい1〜1.5cmが多く、このサイズに合わせて芯となる部分を木材で作ります。

以下、邪道な蓋の作り方ですので、本来の作り方は文章にて添え、ご案内致します。

*蓋を作成される本職の方がご覧でしたら予めお恥ずかしい限りではございますが、お見逃しの程、お願い申し上げます。


しょっぱなから作り方が自己流です。

本来は画像のような活き活きとしたトウモロコシの皮ではなく、予め干して水分を抜いたものを改めて水で戻し、それらを木材で型取りしたものを芯として包みます。

今回はお試しですので干して云々の時間を省きました。

芯となる部分は竹をそのまま切っただけの筒です。
竹は中が空洞ですから調度良く、これでも大丈夫ではないか?と思いつき着手してみました。
ちなみに竹は既に天日干しされたもので水分は飛んでおります。

なんども申し上げますが、ここは本来であれば器の口に合わせて形成された木材を使用します。

くるりと包んだら糸で巻き止めます。
この時にも良く見かける白い糸だけでなく多色を用いた方が面白いのではないか?と、こちらも邪道で自己流で行いました。
更に、結び目は本来2箇所のものが殆どです。

今回は形になるのか?この段階ではあくまでも試しの段階でしたので1箇所止めて終わりとしました。

そして暑い夏の日差しに照らして干している間、皮の芯となるトウモロコシを食します。

だいたい今年の気温で2〜3日程で良く見かける「蓋」らしき色味となり水分も飛んでおりました。

 

皮をカットするのは干した後が好都合です。

皮のいらない部分を洗濯バサミで止めて干しました。


完成時、手元に振出がなかった為、昔、北海道の硝子工房で購入した花器に差し込んで試してみました。

すんなりと収まりました。


と、言う事で、見本を見せてもらい、作る過程は聞いておりませんが、想像で作るとこんなものです。

生憎、自作の蓋は売り物にはなりませんので店頭には持ち込んでおりません。

もし、蓋をお探しで、どこで購入すれば良いか?迷われておりましたら、ご参考までに。

今時期でしたら、おそらく応急手当て程のものは個人で作成できると思います。

キチンとしたものは、道具屋で見かけた時に購入されてみてはいかがでしょうか?

まずは、蓋がなくてお困りの方へ、夏場トウモロコシを購入し、個人による自作をお薦め致します。