2023/09/26 20:58

こんにちは。
古美術商の視点から色の持つ効果を御案内させて頂きます。
日常に色の効果を取り入れて下さい。
人間が生涯関わる「食」の観点も踏まえて、折角ですから財産価値のある器で日々を彩られる事を推進させて頂きたく御案内致します。


『赤』
インパクトのある色彩の代表格ですが、情熱的な色として有名です。
古美術商の観点から申し上げますと、最近、食欲が無くなって…と、お困りの方や元気がない、やる気が出ない…といった方々が赤は強過ぎて避ける傾向があります。
しかし、ほんの一部、赤を取り入れる事により食欲増進に繋がる色として御案内させて頂きます。
トマト等の赤い食材を避けなくては成らない病の方も世の中にはおります。
そんな時に、食卓の雰囲気が落ち着いた色でまとまりますと、益々、食への興味は薄れるばかりです。
赤は伊万里等の器に多く使われており、全体的に真っ赤!という陶磁器は(近代は別にして)古いものには殆どございません。
漆器は存在します。そこに金蒔絵が入っていると、とても素敵だったりします。
ワンポイントとして用いられる赤の効果は絶大で、料理に赤い食材が無い時には赤絵の器を使いますと、一気に華やいだ雰囲気と食への興味がわき上がります。
人間の目は個々人で捉えている彩度は異なる場合もございますが、主に日本の赤と申しますと、やや控えめの朱色に近い黄色を含んだ柔らかい赤の為、万人の眼に優しい印象を与えます。
御家族で、最近、食事が進まない方がいる場合や、小さなお子様へ、もう少し食への感心を高めたい場合は、さり気なく赤い食器を取り入れてみて下さい。
楽しい雰囲気から目の前の料理へ興味を示されるかと思います。
又、眼からの情報により体温が上昇する色としても用いられる「赤」は攻撃的な色としても捉えがちですが、並べる器全てを真っ赤にしない限りは、そこまでの興奮を示す効果はないと思います。
ほんのワンポイントとして食卓の上へ赤い器を1つ加えて家族団らんの日々をお過ごし下さい。

『ピンク』
優しく女性的な印象を与える色として指示を得ているピンク色ですが、器にピンク色は近代になってから登場した色として御案内致します。
古い器でピンク色が用いられるのは明治後期以降…いや…もっと最近ですね。
希にピンク色の器のように見えるのは赤い細い線で白地に描かれている紋様等が器と眼の距離により配合されてピンクに見えるものもございます。
これらも優しい味わいのある色彩で昔の方も桃や梅、桜を連想された事と思います。
そんなピンクですが、割と多く使われているのは病院の壁やスイーツ店の壁や箱。
お客様に安心を与えるような場所で薄いピンク色は用いられております。
壁の色も赤に近いピンクよりも白の割合が多めのピンクですと人間は心を開きやすい空間となるようです。
しかし、その安堵から食に対しましては少々注意点があります。
チョコレートや甘いお菓子をピンクの器で食べると甘さをより強めに感じる傾向がございます。
甘いものを控えなくてはならない健康状態の方はピンク色を用いる場合は少量をお薦め致します。
食後のデザートや少量のスイーツを美味しく召し上がりたい時に活用して頂けたら甘み倍増で幸福度もアップですね。
ワンポイントとしてピンク色は御使用下さいませ。

『橙色』
和食器で申しますと朱色の漆器が思い浮かぶ方が多いかと思います。
こちらは日本古来から魔除けとして用いられた事もあり、神社の鳥居が一番想像しやすいかと思います。
橙色は赤に黄色を加える事により発せられる色彩です。
太陽や炎といった大自然の中にある最も温かみのある色として人間の心理には絶大な効果を発揮します。
こちらも赤同様に食欲増進効果がございます。
それに加えて安心感を与える為、赤よりはやや優しさを含んだ要素がございます。
漆器でお探しになられるのが一番早いかと思います。
そして九谷焼の宮本窯や永楽窯、庄三等にも見られる色彩ですので加賀百万石の華やかさを加えつつ、食卓を暖かく雅な空間とされるのも気持ちが豊かになりますね。
日本人の血に馴染みやすい色と申し上げておきます。
お一つ、橙色の器を探して健康な日常を維持してみて下さい。

『黄色』
高貴な色として世界中で親しまれている黄色は自然界にも多く存在する色として我々の眼にも日常的に入る色彩です。
太陽や月を代表として蜂や虎のような危険な昆虫や動物、それに人間界でも踏切や工事中を示す色として多用されております。
これらは人間の危険を察知する色として刺激を与えますが、発する側は自己アピールを強調する役割を持ちます。
デザインを学びますと我々の日常には上手に人の心理を捉えている商業を意識した黄色が多くございます。
看板や紙袋に至るまで黄色を用いる企業は多く、それらは人間が無意識に察知する色が黄色だと云う心理を読んでの事であります。
私も企業の方々と良く黄色については話をして参りましたが、この色は幼児期から好む色として親しまれる事により万人受けもされる色である事を御案内致します(あんなりバラさないで!と御指摘されそうですが^^;)
黄色の器と申しますと、黄瀬戸や九谷が思い浮かぶかと思います。
黄色い器に季節の食材を盛付ける事により人間の視覚が刺激され、食への好奇心と集中力は倍増されます。
焼き魚や和菓子等がお薦めですね。
人間の脳をいち早く刺激する黄色は小さなお子様から御年配の方まで好まれる色ですので贈り物をお考えでしたら黄色い器を探してみると割と外れはないように思います。

『緑色』
とても安定感のある色ですので若葉や森等の自然を連想される方が多いかと思います。
特に刺激がある訳でもなく、又、存在しないと人の心の安堵感も得られないような、そっと存在する有難い色として御案内します。
安心感を与え清らかな印象を与える緑色は自然界では勿論ですが人間の商業的な目線で見ても必要不可欠な色彩です。
緑黄色野菜を摂取出来ない方もマレにおりますが、料理をしていてパセリやブロッコリー等を添えると料理が全体的に落ち着くと感じられた事はないでしょうか?
多彩な食材がある中で最後に添える緑色は活き活きとした生命力を与えてくれます。
器で申しますと伊万里、九谷や唐津も緑と云えば緑の釉薬もございますし、益子焼や美濃焼、瀬戸、笠間、伊賀の釉薬も緑色ですね。
焼き物に多く取り入れられた緑色は濃いものから薄いものまで様々ございます。
これらの器に盛付けられる食材は鮮度を倍に感じられる効果もございます。
癒し効果抜群の緑色は日常、観葉植物でも構いませんが、どこかに添えておきたい色彩ですね。

『青色』
青は冷静さを保ち、集中力が持続し、誠実さをアピール出来る色として様々な企業もイメージ戦略として使用する色です。
空や海のイメージから澄んだイメージを与えます。
伊万里の染付や藍九谷や平戸焼等が青のイメージですね。
白との相性が良いことから白地に青一色の表現が定着しております(白は雲や波しぶきと言ったところですかね)
青は赤と真逆の効果がありまして、食欲を抑える働きがございます。
赤提灯の色はナゼ赤なのか?とお考えになられた事はございますか?
赤提灯の赤を青提灯にすると人の入りが激減するのです。
これは食の色彩に関係しますが、赤は気分も高調し食欲増進に繋がりますが、青は逆に食欲を抑え冷静さを取り戻したり落ち着きをもたらす効果がございます。
ですから、最近、ちょっと食べ過ぎの方や食事の量を制限されたい方は青の器をお薦め致します。
古美術、骨董の収集では「藍にはじまり、藍に終わる」と云われる程、藍の器は生涯使い続ける事の出来る食器です。
その存在感はさり気なく我々の日常を支えてくれており、数百年の間、人間の食生活を保ち続けている事からも愛される器の代表のような気も致します。
豪快に食事を召し上がりたい方も、1つ、青い食器をお持ちになってみて下さい。

『紫色』
赤と青を混ぜると…紫色になります。
どちらの性質も持ち合わせた色彩ですが、心理的な効果を伸べますと、癒しの方が勝ります。
紫色は時代により流行廃りが激しいように見受けられますが、実は宗教色の強い色彩で寺院の至る所で目にすることが出来ます。
紫色も古くから高貴な色として崇められて今に至ります。
私の苦手分野のスピリチュアルなんちゃら~等にも良く用いられる色ではございますが、霊的な事は全く意味不明な古美術商が伸べておりますので、そこの部分は他の分野の方に聞いて下さい。
紫色の器は、滅多にありませんね。
それを可能にしたのが九谷焼の紫色の絵付です。
器全体的に紫色というのは古い物では滅多に存在しません(むしろ紫色一色の骨董品は見た事はないですね)
器の絵付に少しだけ紫が添えてあるかのように描かれているものは存在します。
とても美しい色で心の安らぎを感じるかと思います。
紫色の器は…お探しの方は現代物か作家物を探されるとあるかもしれません。
今から100年以上前のものですと古九谷が、それに該当するかと思います。

『茶色』
土の色、木の色として自然を連想させる茶色は温もりを感じリラックス効果と癒し効果が絶大です。
家具を茶系統で揃えると落ち着きのある空間に仕上がります。
器では無垢のお椀や備前の鉢、常滑、越前等は壷が思いつきます。
皿の形状を保つ焼き物は少ないのですが、探せば見つかる事もございます。
昔の茶人が特注品で作らせた葉の形をした皿や刺身皿等も極希に見つかります。
代表的なのは壷ですが華道家からは一番好まれると申し上げても過言ではございません。
元々の土の特徴を活かした壷は草花を生ける上で大地から芽生えた生命をその場(空間)に与えてくれます。
あまり茶色ばかりで揃えてしまいますと頑固者をアピールする事になりかねませんので、茶色には少量の別の色彩を取り入れる工夫をされると効果が倍増します。
茶色の抹茶碗に抹茶を想像してみて下さい。
自然の恵みを感じ、有難い気持ちに浸れるかと思います。
大鉢を見かけたら1つは所有してみて下さい。煮物等をごっそりと盛付けるとサマになります。