2023/09/26 20:59

『白』
光を反射させる白は他の色を確実に引き立てる重要な役割を果たしてくれます。
とても清潔感溢れる印象を与える色として日常のあらゆる所で眼にする色彩です。
白だけの空間を好む方は汚れの無い純粋なものへの憧れのようにも感じます。
他の色を引き立ててくれますので、白い食器は現代でも大量に生産されております。
白い食器は日本では磁器が伝わり伊万里から生産が開始されました。
真っ白な器を目指し、陶工が試行錯誤を繰り返す事により江戸の終わりに近づく頃には磁器の肌も白に近づいてきます。
初期伊万里と呼ばれる磁器の肌の色は、うっすらと青みを帯びた釉薬がかけられており、これが初期~中期~後期~幕末の鑑定の目安にもなります。
白磁が日本国内で生産されるようになるのは1800年代に入ってからですが、ようやく…いよいよ白磁に近づいてきます。
それまでのものとは異なり雲を連想させる白磁の肌の色は純白に近づき、陶工の継承により今の純白に等しい白い磁器は国内でも生産可能になりました。
料理は特に選びません。
清潔感を感じさせる事と鮮度をしっかりと見せる事が可能な白い器には、何を盛付けても食材だけが浮かび上がり空白の美を重んじる日本人であれば、ほんの少量の食材をシッカリと捉える事で料理の品格さえも感じるかと思います。
又、陶器で申しますと、志野焼の白い肌に細かな貫入が走り、ほんのりとした火色が現れている茶碗等も雪解けを連想させたりと、こちらも桃山時代から続く器の代表です。お値段はちょ~っと高めですが、陶器で探されるのも面白いと思います。
今では京焼や九谷等でも白い器は生産されております。
白薩摩は、また別格ですが、こちらも白の部類として御覧頂き探されてみても面白いかと思います。

『黒』
漆黒(しっこく)とは、まさに漆の黒と書きますが、日本の食器で黒の代表格は漆器ですね。
問答無用で黒の奥に広がる世界観は、いつの時代の人間も美しさに眼を奪われます。
黒の効果は高級感を与える事が一番に上げられます。
黒ばかりですと気分は沈みますが、黒をベースに多彩な色を用いる事により、華やぎも一層、雅なものに変わります。
暗いイメージが強い黒は、実は使い方次第で白と同じように他の色を引き立てる役割を果たしてくれます。
漆器の盆に様々な器を並べると、そこに世界観が生じます。
更に料理を盛付けることにより実用的なものと代わり、我々の眼を楽しませてくれます。
それらはベースとなる黒を貴重に準備する事により、高価な時間と空間を与えることが可能になりますので、日常的に黒を取り入れるのであれば、まずはお盆が使う頻度があるかと思います。
お椀や箸に至るまで、色々なものを黒でまとめて、そこに刺し色として別の素材と色を加えてみて下さい。
神秘的なイメージを与える効果もありますので、身につけるものにも全身ではなくワンポイント取り入れる事をお薦めします。

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このような感じでまとめてみましたが、改めまして、古美術商が書いております。
現代の器でも、勿論、素敵な日々を過ごせますが、どうせ1点購入するなら!財産価値のあるものを!
(平たく申しますと=子、孫世代が引き継いでも、どの時代になっても売買出来るもの)

古美術品は100年前後しても、その時代を生きる人が「良い」とされてきたもので「良い」とされ続けるものです。
そんな歴史を日々の食卓に並べて、心と身体の健康維持を考えてみて下さい。

色は自然には適いませんが、時代毎にモノづくりを行った人間が生み出した貴重な色彩は残っております。
それらを今の時代に活かすには、皆様の感性と気持ちがないと残念ながら無くなってしまうのです。
感性を磨くには、まずは御自身に必要なものを探してみて下さい。
美術館や博物館で眼を確かなものにするのも大事です。
そして毎日、手に取り使う事で目利きへとなります。

残念ながら自腹を切らないと大事にしないのが人間の心理です。
御自身の身銭を切ってでも欲しい!ものが見つかりますように。

後世に手渡すまでは、預かる気持ちが何よりも大事になってきます。

*金色は黄色に含まれるとして御拝読下さい。