2023/09/26 21:18

*画像リンク切れの為、紛失

本日のタイトルは『裏返して見て下さい』
お持ちの皿やそば猪口を裏返し『銘』を御覧頂けましたら楽しめるかと思います。
『銘』とは裏側に書かれた文字を銘、銘印、年款と呼びます。
画像の物は「大明成化年製」と書かれております。
江戸時代を通じて、最もよく用いられた銘といえます。
文字が大きく書かれている物程、時代が下がる場合が多く、画像の物は江戸中期から幕末の皿となります。

ちなみに「大明万(萬)暦年製」と書かれている銘は、高級で優れた物が多く、是非、お手持ちの皿を御確認下さい。
そして、皆様「かくふく!かくふく!」と騒がれますが、流石でございます。
「福」の銘は上手の証とされております。
草書体の福の字を桝で囲んであるものを角福、渦福と呼びます。
時代は江戸初期から中期のものです。
付け加えておきますが「福」印は、柿右衛門窯などから広がり、18世紀には「大明年製」同様に広く用いられました。
さてさて、お手元の皿に「富貴長春」と書かれている!と仰る方も多いですが、こちらは、あまり時代とは関係がございません。中国磁器への憧れか?と書かれている書斎もございますが、江戸の初めから終わりまで用いられた銘でございます。
この他にも、目跡や高台と裏側にも目をやる箇所はございます。
「なぜ裏側を見るのですか?」と質問を良く受けます。
それが本日、お話させて頂いた箇所がポイントとなるからでございます。
表だけの鑑賞も結構ですが、某テレビで鑑定士が裏返す姿を真似て「こうやって見るんですよね?だけど、何を見ているのか、実は知りません」と照れくさそうに笑みを浮かべる方はたくさんいらっしゃいます。お茶目ですね。
伊万里の見所として簡単にまとめました。
1、藍の色を見る
2、生地の色を見る
3、絵柄を見る
4、裏柄、底、高台、銘を見る
等が、主なポイントです。
これに加え、時代の見方は数多くの伊万里を御覧になって下さい。
当店には目利きの顧客様が多くいらっしゃいます。
「本と読むより実際に見た方が早かった」と仰る方が、ほとんどです。
店頭では、更に見込みに描かれた文様等の御説明も致します。
皆様、お気軽に、御近所の古美術商の暖簾を潜って下さい。
日本人の粋な美を、どうぞ個々人で所有し受け継いで下さい。
久々に真面目なコラムでした。