2023/09/26 21:20



毎年、学生時代の友人の母が贈ってくれる梨。

「梨届いたよ~」と電話するたび、夏の終わりを実感します。
さて、この梨ですが、古美術業には欠かせない用語の一つでもあります。
『梨地』とは、漆工芸品に用いられる用語として有名ですが、蒔絵の地蒔の一つで「梨子地」とも書きます。
梨の実の地肌に似ている事から呼ばれるようになったようですが、先程、繁々とその地肌を観察してみました。

このように、実際に写真を撮る人も希かと思いますが梨の肌を用語にするとは、昔の方は発想が豊かですね。

私物の書斎から用語の内容を引用します
平目粉(ひらめふん)をさらに平にのばした梨地粉を蒔き、梨地漆を塗って粉を覆い、粉が露出するまで研ぎ出すことをせずに漆を透かしてみせるもの。梨地漆は純度の高い透漆に梔子(くちなし)か雌黄(しおう)を混ぜて金の発色をよくしたもの。
なお、文様の輪郭線の内側に梨地粉を蒔いて色彩効果を上げる技法を「絵梨地」という。

店頭に『梨地』の蒔絵、数点御用意してございます。
如何な物か、一度、御覧下さいませ。

今年は梨に限らず、作物が不作とニュースで拝見しました。
ですが、非常にみずみずしく美味しいです。

さて、皆様、八百屋・スーパーに出かけるか、古美術商の暖簾をくぐるか、それは、お任せ致しま~す。