2024/03/20 00:25

こんにちは♪

まだ肌寒い日も続きますが本日は春先に向けて爽やかな染付のご案内をさせていただきます。

そもそも染付とは磁器でよく見かける青い顔料(呉須/ごす)を用いて作られた器をさします。
伊万里が日本で誕生した1600年代から日本に根付いた用語で「藍色」のみで描かれている器を称します。
磁器の歴史的なお話はAmazon電子書籍/Kindle
「古美術・骨董 入門: 伊万里から始める 基礎知識 (古美術 希 のぞみ)」
でもご案内しております。
お時間ございましたら一度流し読み程度にご一読ください。

染付は時代毎に藍色の発色が異なります。
言葉で「渋い色」等と、お伝えしてしまいますと個々人で受け取る印象が異なるので難しい部分ではございますが、初期伊万里とされる1600年代の呉須は薄くて渋い発色です。鈍いという表現をされる方もおりますね。
1700年代までは呉須が貴重だったので初期伊万里の流れを汲んだ色彩が用いられております。
しかし段々と大名家からの発注品・献上品が生産されつつある時代の為、全面に蛸唐草紋様が描かれていたり、この頃から微塵花唐草紋様も伊万里を代表する絵柄となってきます。

そして江戸の後期〜幕末期、明治時代となるにつれて目にも鮮やかなコバルトブルーが海外から伝わり色彩もはっきりとしたものに変化します。

これだけでは鑑定はできないのですが、たとえば肌の色、釉薬の発色や高台の作りからも時代を読み取るポイントがございます。

それらを全てチェックした上で時代物を所有していただきたくコツコツ励んでおります。
どうしても写しと言われるコピー品や大正時代頃に作られた初期伊万里「風」というものがあり、これらを私はいつも「番外編」という言い方に変えてお客様と向き合ってまいりました。

その番外編も今や作られてから100年経過しているものもあるので、これらは時代をよーく見て判別しないと価格で「おーっと!危ない!」という目に遭う場合がございます。

最近は情報社会なので様々な文章から学ばれておられる方も多いですが、結局は見て、触れて、使わないと覚えないのが正直なところです。
書斎だけ読んで情報通のように振る舞っていても実際に毎日使っている方とは「見方」が異なります。

本日アップしている写真は過去のものですが1700年代、江戸の中期に作られた角長皿に幕末期の猪口や向付、蓋物を添えております。
時代毎に蒐集される方や形状が好みの物を合わせたりと使ううちに「次はこれぐらいの器がほしいな」と明確になってきます。

それでもなかなか出会えないのが古美術・骨董品の難いところでもあり面白い部分でもあります。

10年以上探しても見つからない器が、ある日、フラッと立ち寄った店で見かけることもございます。
その偶然の出会いの時に向けて学ばれておかれると納得のいくお買い物ができます。
形や色、時代や必要個数、そして価格と調べておかれると「あった!」という場面で感動も倍増します。

店舗の頃は毎週いらしては狙いを定めて「売れるなよー。待ってろよー。」と念を送る方もおりましたが、この場合は素直に取置きをされた方が良いです。結局、悔しい思いをされるので店側としても売り難い上にお客様も「やっと見つけたのに」と後悔が永遠と残ります。

量産品ではなく、むしろ今後は生産されないものが古い時代物です。
しかも海外発送もスムーズに行える時代となった今では日本の骨董蒐集家は世界中におられます。

もし、ご興味がおありでしたらご自身の好みを追求されてみてください。
まずはそこからスタートされると初めて購入されるお品物が生涯所有される宝となります。
それにですね・・・売る側としてはあまり言いたくないですが‥‥‥良い物を持たれると、それ以上を求められるようになるので結果的にお財布に優しい蒐集になります。
良いものが手元にありますと、それ以上はなかなか出会えません。
それ以上となりますと時代もきっと古いものを求められます。そうなりますと価格もドンドン上がります。

初めが肝心。と、言ってはいけないのですけどね。
まずはご自身の好みを探ってから良い時代の物を手元で使ってみてください。
肌触りや重さを手で記憶されて、目では色や形状を自然と記憶します。

目利きへの近道のポイントはそこかな〜?と思います。

わからない事やご不安な事がございましたらお声がけください。
店舗の頃は時代毎に並べてお客様の目の前で鑑定のコツを伝授しておりましたが、今はお一人ずつとはいかなくなってしまったので、そこは電子書籍でチェックしてみてください。物凄くラフで簡単に書いております。恥ずかしくなるぐらい簡単です。

春分の日に『春』を意識した心弾むお買い物をお楽しみくださいませ♪