2026/02/20 18:01

江戸後期、1700年代後半に作られた
古伊万里 染付蛸唐草紋様の喰籠(じきろう)です。

直径約12.2cm、高さ10cm。
無傷完品。

外側全面に丁寧に描かれた蛸唐草。
自然が生み出す螺旋と曲線を、迷いなく筆で走らせています。

高台から立ち上がる櫛高台も当時の流行を意識した意匠。
小ぶりな摘みには釉薬がたっぷりとかかり、慎ましく、しかし凛と立ち上がっています。


蓋物は最も難しい形状

陶芸をされる方ならご存知の通り、
蓋物は最も難儀な形状です。

焼成時の収縮を計算し、
上と下がぴたりと合うように作らねばなりません。

1mmの歪みも許されない世界。

この個体は、蓋はがたつかず、ずれません。
高度な技を持つ陶工の仕事です。


喰籠とは何か

喰籠とは、本来食物を入れる蓋付きの容器。

室町期には書院飾りとして唐物が棚に飾られ、
やがて茶の湯の発展とともに、主菓子を盛る器として用いられるようになりました。

暖かい季節には陶磁器、
寒い季節には漆器。

季節や点前に応じて使い分けられる、
日本の美意識を体現する器です。


現代での使い方

梅干しや保存食など、
日々食卓に上がるものを入れてください。

小物入れにするには少々贅沢。
茶入れには大きい。

本来の用途に近い使い方が、最も美しい。

以前、より大きな古伊万里をお求めになった方が
「何も入れられないほど凄い。でも帰宅する度に圧倒される」と仰いました。

器は、所有者の感性を映します。

正真正銘の時代物。
珍品をお探しの方へ。